ドライマウス
(口腔乾燥症)
DRY MOUTH

ドライマウス(口腔乾燥症)

WHAT IS DRY MOUTH ドライマウスとは

ドライマウスとは

『ドライマウス』の「ドライ」は日本語にすると「渇く(かわく)」、「マウス」は「口」という意味です。つまり、ドライマウスとはお口が渇く状態のことを言います。「口腔乾燥症」とよばれ、さまざまな原因で唾液が出なくなり、お口の中の渇き、お口の中の違和感、口臭などの症状が現れてきます。現在ドライマウス人口は3,000万人と推定されていますが、患者数は増加する傾向にあります。

お口が渇くこと

お口が慢性的に渇くことは想像以上に不快なことです。半日以上水分を取れなくてカラカラになったお口の状態をご想像下さい。舌がからみ喉までひっつくような感じがしてとても気持ちが悪いのではないでしょうか? また、話そうとすると粘ついた舌がお口の中でひっかかり「くちゃっ」と音がすることもあり、さらに強い口臭をともなうようになります。

そのくちゃくちゃした音や口臭が気になり、人と会ったり人との会話を心から楽しむことができなくなってしまいます。食事をしても、水分と一緒でなければ飲み込めない、砂を噛むような感じがしておいしくない、など食事が楽しくありません。常にそのような状態で生活を送ることは精神衛生的にも良いものではありません。

お口の渇きが進行すると、不快なだけではなくさまざまなつらい症状が現れてきます。乾燥した舌やお口の粘膜は、ひりひりと常に痛みさらに乾燥が進むと舌や唇がひび割れてひどい場合には出血をともないます。

味がわからないことも

さらに、唾液による潤滑作用・保護作用が機能しなくなるため、歯周病やう蝕などが起こりやすくなり、さらに舌の味を感じる部分が痛んでしまうと味覚が変わり味がわからなくなることもあります。

このようにドライマウスでは“たかが口が渇くだけ”と言ってすませてしまうことができないほどさまざまな症状が見られ、QOL(生活の質)を低くしてしまうのです。

唾液の中には、抗菌作用を持つラクトフェリン、リゾチーム、粘膜の保護作用を持つムチン、消化酵素アミラーゼなど、健康に役立つ成分が多く含まれています。唾液はただの水分ではありませんので、飢渇(きかつ)したからといって、水分補給でドライマウスは改善されません。

お口が渇く原因

ドライマウスは、薬の副作用、ストレス、脱水、乾燥、口呼吸、口腔が不潔な場合、加齢などさまざまな原因によって起こります。そのほかにも、シェーグレン症候群、間接リュウマチ、糖尿病、パーキンソン病などの症状の一つとして現れることがあります。

これらの原因に共通して、オーバーラップする要因が薬の副作用です。日本は薬の服用大国といわれており、欧米に比べて約40倍の服薬量があると言われています。中でも、血圧を下げる薬、睡眠薬、抗うつ剤、抗ヒスタミン剤、尿失禁や頻尿の薬などの副作用として、ドライマウスの症状が多く見られます。薬を変更したり量を減らすなど、服薬状況を主治医と相談する必要もあるかもしれません。

毎日の生活をいきいきと送るために、お口の中にうるおいを取り戻してはいかがでしょうか。

免疫力の低下

人のお口の中は一面粘膜に覆われており、この粘膜は食道や胃を通過して腸まで続き、お口から始まる消化管全体を覆っています。近年、この粘膜に粘膜免疫という特別な防御機構(異物を侵入させることなく排除する機構)があることがわかってきました。免疫は、体の中に侵入した病原体やウイルスなどを排除し、体を病気から保護するための仕組みのことで、細胞、組織、器官が一体となって複雑に連係して働いています。ドライマウスになるとこの粘膜免疫が低下し、体全体の免疫力を低下させることがわかってきました。

通常、免疫は、細菌やウイルスのような病原体が体の中に入り込むことで動きだします。それは、一度細菌やウイルスに感染することを意味します。一方、粘膜に存在する粘膜免疫は、病原体が体の中に入る前に、粘膜に接しただけで働き始めます。つまり病原体が体の中に入る(感染する)前に排除するという画期的な仕組みになっているのです。さらに、体のどこかの粘膜上で働き出した免疫は別の粘膜にも運ばれ、運ばれた先でもその機能を発現するので、体中の粘膜上で病原体に対する防御機構を持つことになるわけです。

口腔粘膜も体全体を覆う粘膜の一部であり、粘膜免疫の一翼を担っています。たとえば、お口から侵入しようとした細菌やウイルスが口腔粘膜で食い止められた場合、その情報は腸にも送られます。お口から得られた免疫情報が体全体に行きわたるわけです。

ただし、粘膜免疫が働くには、粘膜が湿っていることが大切です。口腔粘膜が唾液により湿潤していることが絶対条件なのです。お口の中が乾いていると、せっかくのこの機構も働きません。つまり、口腔乾燥症になると、お口にあるこの最初の防御機構がうまく働かず、細菌やウイルスが侵入しやすくなってしまうのです。

細菌数の増加

唾液の効果の一つに、抗菌作用があります。これにより、細菌の生育や活動が抑えられます。しかし、唾液が減少してこの作用がなくなると、細菌数は大幅に増加します。増加した細菌は、お口の中だけでなく体全体の健康に影響を与えるようになります。

人体には口腔、消化管、鼻腔、泌尿生殖器などに細菌の生息場所があり、それぞれに特徴のある細菌叢を構成しています。これらの細菌を常在菌と言います。人体にはおおよそ1,000兆個の常在菌が存在しており、この数は人の細胞数(約60兆個)の10倍以上にもなると言われています。

常在菌は人体の健康維持のために大切な働きをしており、お互いの細菌叢は影響し合っています。そのためいずれかの細菌叢が構成比率のバランスを崩すと病原性が発揮され、さまざな疾患を引き起こす可能性が出てきます。

現在、腸内細菌がさまざま疾病(自己免疫疾患、クローン病、がん、慢性リウマチ、乾癬、うつ病、肥満など)と関係することがわかってきており、その腸内細菌にお口をはじめとする消化管内の細菌が影響を及ぼしていることもわかっています。このように、常在菌をコントロールすることは体全体の健康に関わってくることなのです。

幸い、お口の中には唾液の分泌という素晴らしい機能があります。この「唾液を増やす」ことが体の健康を保つことになるのです。

ドライマウス治療

ドライマウス治療
ドライマウス治療

ドライマウスの原因はさまざまです。しかし、原因がわかっていてもなかなかそれを取り除くことができない場合もあります。そのときは、つらい自覚症状をできるだけ早く取り去ることに重点を置きます。

もし、痛みがあればまず痛みをとり、少し落ちついてから乾燥について対処していくなどします。乾燥への対処は外用薬、ドライマウス用品、内服薬に加えて、患者さま自身に努力してもらう唾液腺刺激療法などを行ないます。乾燥の改善には時間がかかる場合も多いので、気長に進めていくことが大切です。また、回復した後はその状態を維持するためにぜひ定期的な診査を受けることをお勧めいたします。

STEP 当院でのドライマウス治療のステップ

  • STEP 問診・診査とドライマウスについての説明

    問診・診査とドライマウスについての説明

    (所要時間:30分)

    ドライマウスという症状やその治療について説明を行い、ドライマウスについて問診を行ないます。同時に、お口の中の詳しい診査を行ないます。

  • STEP 口腔乾燥度の検査

    口腔乾燥度の検査

    (所要時間:30分)

    唾液腺機能検査、カンジダ菌検査をふくめた口腔乾燥症検査を行ないます。(自費)

当院での主なドライマウス治療法

それぞれの原因に合わせた適切な治療を行なっていきます。

唾液腺刺激療法 さまざまな方法で唾液腺を刺激します。
刺激療法、筋機能療法 など
歯科治療 ドライマウスにより生じたう蝕、歯周病の治療を行ないます。
粘膜疾患への対処 乾燥により粘膜に現れる疾患を治療します。
軟膏、含漱剤、抗真菌薬 など
粘膜の保湿 乾燥への対処としてさまざまな用品を使用します。
保湿剤、人口唾液、保湿装置 など
唾液分泌促進薬 薬剤により唾液分泌促進をはかります。
漢方製剤、内服薬 など
心身医学的アプローチ 内科や心療内科と連携をとりながら治療を進めていきます。

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